「薬舗 鉢底堂」Medicine store "Hachizoko-do"

2020.08.04 23:56

ShanoFarenhight

https://twitter.com/ShanoFarenhight

2020.10.30施錠/解体

Light level:1  ※シヴァのシャンデリア(Ice Chandelier)
BGM:♪海中の音(Ambient Abyss)
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「ほう……人間のお客様ですね。」
「ここはどこか……そうですね、私にもわからないので『金魚鉢の底』ということにしてください。」
「よく『きく』お薬をお出ししますよ。」
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テーマは「金魚鉢の底にある(と店主が主張する)薬屋」です。
淡水水槽の水草のような配置の和風の庭園を軸に、和風の内装を組み合わせてみました。
アートアクアリウムのように金魚で「魅せる」ことも狙いつつ、
ライティングは抑えめに、あくまで親しみ深い「金魚鉢」の雰囲気を持たせて、
来てくれた人に日常と非日常が隣り合う不思議な夢を見てしまったような気持ちにさせることを目標に据えて製作しました。
迷い込んだ人間の皆さんには「いや、水の中なら桶も、手水鉢も要らないでしょう!?」と盛大に突っ込んでいただきたい……!
日中お越しいただけると、壁面への波紋の映りこみがはっきりする分、より水中らしい揺らぎを感じていただけると思います。
また、あまり綺麗にはだせませんでしたが、東側の格子窓を金魚が通ると、たまに影絵が通過していくのが見られ、
よりゾクゾク感を感じていただけると思います。

The theme of this room is a medicine store which in bottom of goldfish bowl.
I made the Japanese garden with image of Fish Bowl decorations.
I recommend you to visit here in daytime.
You can see the water reflection light effect only in daytime. 
That effects will more make you to feel being under the water!
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住所:Unicornサーバー、ラベンダーベッド7区、リリーヒルズ1号棟-5号室
キャラクター名:Shano Farenhight

Address : Unicorn Lavender Beds, 7th district, Lilyhills, building 1, room 5
Character :Shano Farenhight

Twitter acount: @ShanoFarenhight

Feel free to visit here!  お気軽にお越しください!
You can also take screenshots and post them on SNS,that will makes me happy! SSを撮ったり、SNSに公開していただけるのは大歓迎です!!

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■以下は背景にある物語 (和風人外系ストーリー好きの方向け)
The following is a bonus fairy tale.
But I write only in Japanese, because I use Japanese word joke in this story.

目が覚めると――いや、覚めていないのかもしれない、見覚えのない日本風の家屋にいた。
古い古民家か何かなのだろう。壁に、家具に使われた家具は深い色をしていて、相当に年代物だと思わせる迫力を持っている。
しかしながら耳に入ってくる、聞き覚えはあれどどこで聞いた音だかはっきりとは思い出せないこの「ボコボコ」という音は何だろう。
そっと注意深く耳を澄ませたそのとき
「いらっしゃいませ――ほう……人間のお客様ですね。」
どこか飄々とした、商売人風の男が出てきた。
いかにもな笑顔に、いかにもな手もみ……周りの骨董品のような調度も手伝って
うさん臭さが形を持って現れたとしか思えないというのが正直な感想だ。
「お客……になった憶えはないです。ここはどこでしょうか?」
「ここはどこか……そうですね……」
男はわかりやすく首を捻り、
「私にもわからないので『金魚鉢の底』ということにしてください。」
と、にこにこしながら答えた。

やはり夢を見ているだけなのかもしれない。
ただでさえ仕事で疲れているんだ、早くこんな疲れそうな無駄に情報量の多い夢は醒めてほしかった。

「おや、ピンと来ないご様子!それではご覧に入れましょう。こちらへどうぞ。」
気は進まなかったが手招きにしたがい、そっと畳張りの小上りに上がった。
何を企んでいるのかニヤニヤと嬉しそうに男は目の前の障子に歩み寄ると、
左右の手で障子をそれぞれの方向に押しやった。

上に広がるのは青空――ではなかった。
大きな魚……見慣れた姿をしたあの姿は金魚だろう。
金魚が空を泳いでいる?
いや、違う、ここが 水の底 なんだ。
この「ボコボコ」という音も、子どもの頃プールの中で聞いた、あの水中の音だ。

開け放たれた障子の先の和風庭園ばかり見ていたら、急に視界に影が差した。
見ると隣の格子窓の外も水中のようで平然と金魚が泳いでいる。そいつらの影だ。
「はい、このとおりここは金魚鉢の底です――多分。」
「『多分』……。」
「ご納得いただけたところで商いの話に入りましょう。」
「『ご納得』はしていないですが……まぁいいです。」
「当店で御出しできるのは『よく きく お薬』です。
 ただし夢を入り口としてしかたどり着けない人間の皆さんにはいくつか制限があります。」
「はいはい、なんでしょうか?」
どうやら流れに任せるしかなさそうなので話に付き合ってやることにした。
「ひとつ『ここのお薬は外に持ち出しができません』――よって、他人に作用するものはお出しできません。」
「うん、まあそうだろうな、夢ならな。」
「ふたつ『ここのお薬は夢を通して内側から作用します』――そのため、『外側』たる体には劇的な効果は出ません。」
「うん、まぁ……夢だしな。」
「みっつめ、『効果には個人差があります』――以上!」
「……なんの薬でもそれはそうだろうな。」
「それでは……あなたの悩み事を聞かせてください。」

仕事の事、家族との関係、SNSでの人間関係……
流れるように食い気味に質問されるせいでだらだらと愚痴を零してしまった。
日常愚痴を零せる場所もないし、心が軽くなった気もするし、まあ悪くない夢だったかと思ったところで、
男は後ろを向いて薬棚と思われる棚の引き出しをあちこち引き出し、どこにでもありそうな急須に薬草のような物の粉を詰め込んだ。
「さて、今回の処方です、どうぞ。」
そう言いながら急須を茶碗に傾けると、不思議と薬茶のような物が注がれていった。
「茶菓子もありますので私のことは気にせずごゆっくり。――さて、庭の金魚たちにご飯でも与えてきますか。」
縁側には金魚すくいで見かけるような小さく細い金魚たちが集まってきている。今にもっともっと大きくなるのだろう。
――茶菓子も薬茶も問題なくうまい。
だが、ひっかる点が一つある。
「これ……ただのうまい緑茶じゃないか?」

「ああ、緑茶はお好みではありませんでしたか?甘茶や、なんなら紅茶のご用意もありますよ?」

楽しそうに金魚たちと戯れながら男は答えた。

「私はよく『聞く』お薬をお出しします。それはあなたに安らいでいただくための仕上げにすぎません。」
すぅっと急流に流されるように視界が見えづらくなっていった。
「おお、お時間ですか?
 ご安心ください。人間の皆様のお代は、願い事や呪詛を受け付けずに済んだ神様から報酬という形でいただいておりますので!
 ――それではごきげんよう!」
こころなしか金魚たちの胸鰭もこちらに向けて振られたと思ったところで、見慣れた布団の中で目が覚めた。

あれからあの不思議な薬屋の夢を見ることはない。
しかしひょんなことから、水の神様、雨の神様で有名な貴船神社が「丑の刻参り」の発祥の地だということを知ることになるのだった。
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ここまでお付き合いありがとうございました!
裏設定としては「店主は水の神が水粒や泡から作り出した式神や妖精のような者」
「どこにあるのかわからないのではなく、正確には人間にわかる語彙で説明をどうしたらいいのかわからない」というのがあります。
人間社会に恨みや妬みのような淀みをなるべく残さず流れ清めさせるために派遣されたエージェント、という立場ですね。
(そうして解決していけば、細かな願いや呪いの受付件数が減り、雨や川の制御に集中できるだろう、という算段です)
そんな店主や金魚たちの「静かなのに賑やかな」息遣いも内装から感じていただけたら幸いです。

アパルトメントで使用した主な家具一覧

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